テクスチャーからマテリアルを生成する-“Materialize by Bounding Box Software”
Materialize(マテリアライズ)は1枚の画像から、デフューズやノーマル、バンプといったデータを生成し、マテリアルを作ることができる優秀なソフトです。
無償で利用でき、ダウンロードするだけですぐに使うことができます。アカウント作成もありません。ライセンス関係はGNU General Public License v3と定めており、いかなる目的にも使用できます。
以下のリンクの公式サイトからダウンロードできます。
画面やボタンの説明も載せていますが、手っ取り早く操作を覚えたい方はMaterializeインストール後、目次から題目3”使用例 1枚のテクスチャーからマテリアルを作成する”に飛んでください。
導入
ダウンロード
公式サイトからダウンロードしましょう。”Download Materialize for Windows 64bit”をクリックします。”Materialize shader pack for Unreal”でサンプルのUE4用アセットがダウンロードできます。せっかくなので貰っておきましょう。クリックするとブラウザでダウンロードが始まります。
Materialize_1.78.zipがダウンロードされます。1.78はソフトウェアのバージョンです。
インストール
ダウンロードしたMaterialize_1.78.zipを好きなところへ展開します。以上です。
起動
展開したフォルダーにMaterialize.exeというファイルがあります。たたくとMaterializeが起動します。
使い方
画面の説明
マテリアライズの画面はこれだけです。すべての管理、操作はこの画面から行います。
画面について簡単に説明いたします。
マウスの基本操作
モデルの回転
(→)右クリック+ドラック
モデルの移動
マウスホイールボタン+ドラック
ズームイン/ズームアウト
マウスホール
ライト(光源)の回転
マウスホイールボタン + L
背景の回転 (詳細不明)
マウスホイールボタン + B (背景というのがどれなのかがわかりませんでした)
使用例 1つの画像からマテリアルを作成する
1枚の画像をマテリアルとする基本的な流れを説明したいと思いますが、その前に公式のチュートリアルを先にご紹介いたします。
こちらのビデオは公式のチュートリアルであり、レンガのマテリアルを作成する工程を例に解説を行っています。このビデオを真似して作業を行えば、作成手順に必要な流れが学習できます。
しかし、この動画は英語音声であり日本語キャプション(字幕)がついていません。また、動画で利用しているMaterializeはバージョンが古いので、今の画面と少し様子が違います。なので英語に抵抗がある方向けに、この記事ではこの動画で解説されている内容を、日本語で説明する形で進めていきたいと思います。
以下のリンクから動画のようなレンガのテクスチャーを.jpgでダウンロードできます。
ファイルをダウンロードして早速やってみましょう。手順は意外とシンプルです。
素となるテクスチャーのインポート
まずはダウンロードした.jpgをDiffuse Mapとして読み込みましょう。データのインポートを行うには、パネルの” O ” のボタンをクリックします。
ボタンをクリックすると下の画像のようなウィンドウが表示されます。インポートしたいデータを選んで、右下の”Select”ボタンをクリックしましょう。
インポートに成功するとこのようにプレビューに表示されます。
Diffuse Map の編集
インポートに成功したら、次はDiffuseMapの編集に移りましょう。DiffuseMapパネルの”Edit”ボタンをクリックしてください。以下のようにEdit Diffuseパネルが表示されます。
“Diffuse Reveal Slider”を動かしてみましょう。プレビューの右側が少し白くなっているのがわかりますでしょうか。右側が実際にソフトウェア上での編集が適用された状態を表しています。もう半分が元の状態です。このスライダーを動かすことで比較の範囲ができるようになります。
他のスライダーも動かしてみましょう。正解はないので好みの見た目になるよう調整してみてください。
※各スライダーの説明を書いていくと記事が肥大化するので別の記事にまとめます。
調整が終わったらEdit Diffuseパネルの下にある”Set as Diffuse”ボタンをクリックして編集を適用させます。
一度プレビューを右クリックしながらドラックで回転させ、横から覗いてみましょう。正面から見る立体的ですが、横から見るとあくまで平面の絵であることがわかります。
Height Mapの作成
次は作成したDiffuse Map から Height Mapを作成します。Height Map パネルの”Create”ボタンをクリックしてください。以下のようにHeight From Diffuseというパネルが表示されます。
名前の通り、先ほどのDiffuse MapからHeight(高さ)のデータを作成します。
デフォルトの状態では、元となるDiffuse Mapの色から高い部分、低い部分を分析します。黒に近い色の部分が低く、白に近い部分が高くなります。今回はパネルの”Use Sample Color 1 – 2″を使って細かく指定してみましょう。”Pick Color”ボタンをクリック後、プレビューの調整基準にしたい色をクリックします。ここでは高さを高くしたいレンガの部分と、低くなってほしい溝の部分の色を選択しました。スライダーは以下の写真を参考にするか、好みに調整してみて下さい。
調整が完了したら、パネル下の”Set As Height Map“を忘れずクリックしましょう。
Show Full Material
いったん先ほどと同じようにプレビューを横から見てみましょう。
以下画像の赤枠のボタン”Show Full Material”をクリックすることで、作成したMapが全て適用された状態のマテリアルが確認できます。先ほど横から見た時と違い、Height Mapが適用されているので、実際に凹凸のあるマテリアルとなったことがわかります。
Normal Mapの作成
次はNormal Mapを作成します。Normal Mapは主に単純化されたメッシュをより詳細な見た目にするために利用します。以下は4百万の三角面で構成されたモデル(左)と500の三角面に400万のモデルから作成したノーマルを適用したモデル(右)の比較です。データサイズを極限まで抑えつつ、複雑な形状を表現するための技術です。
それではNormalを作ってみましょう。Normal Map パネルの”Create”ボタンをクリックします。
スライダーを動かして調整しましょう。”Show Full Material”でプレビューを確認しながら好みで作って見てください。
赤枠の部分に注目してください。Texture Tiling X/Y のスライダーでテクスチャーの拡大縮小ができます。Texture Offset X/Y でテクスチャーの位置の移動ができます。またPlaneで平面、Cubeで立方体などプレビューの形状を変更できます。他にも光源の強弱の変更などがこのFull Materialパネルからできますので、試してみてください。
AO(Ambient Occlusion/アンビエントオクルージョン)Mapの作成
次はAO Mapを作成します。Ambient(環境光) Occlusion(遮蔽)とは、簡潔に言うと光によって生まれる影のことです。光源から放たれる光線を、モデルがどのように遮っているかを計算することで、自然な陰影を生み出す手法です。なので、AO Mapの設定はすなわちマテリアルの影の設定ということになります。
Normal + Depth to AOパネルで編集し、”Set as AO Map“をクリックしてください。
“Show Full Material”で見てみましょう。ただのレンガの絵が立体的なマテリアルへとなってきました。マウスボタン+Lキーでライトの移動ができます。いろいろな角度から確認してみましょう。
Edge Map の作成
次はEdge Mapを作成します。名前の通り飛び出した部分や割れ目などギザギザとした輪郭の表現をつけるためのデータです。
今までと同じように、”Create”から開いて、編集後”Set As Edge Map”で適用です。
Edge Map適用後の”Show Full Material”のプレビューの様子です。いい感じです。
タイリングの調整
次はタイリングの調整を行います。本来ならば、公式のチュートリアル動画ではEdge Mapの作成後にSmoothness Map を作成していますが、今回は不要なのでスキップさせていただきます。Smoothnessは平均化ともいい、Height Mapの時と同じように色情報をもとにして、対象の色の部分の高さをならしていきます。今回のレンガのマテリアルは割れ目のあるゴツゴツした質感にしたかったので使いませんでした。
ではタイリングの調整に移りましょう。
赤枠のボタンからTiling Texture Makerパネルを開きます。ここではマテリアルの解像度や密度を変更できます。
New Texture Size X/Y の値を変えることで、出力するMapデータの解像度を変更することができます。ここではX/Yともに4096にします。
さらに下の画像のように赤枠のTexture Tilingのスライダーを2にあげてみましょう。
すると、以下のようになります。元のテクスチャーを1枚のタイルのようにし、それを連続させることで密度を濃くすることができます。
overlapスライダーにも少し触れておきましょう。overlapスライダーを動かすと、1枚のタイルのX/Yのサイズを拡大縮小できます。これによってタイル同士の重なりが生じますが、以下のように重なる箇所によっては不自然な継ぎ目のような跡ができてしまいます。
これらの線を解消するには Edge Falloff スライダーを調整します。
Edge Falloffはタイルの切れ目にブラー効果(ぼかし)を入れて線を目立たなくしてくれます。
一連の調整が完了したら、”Set Maps”ボタンで適用しましょう。
プロジェクトの保存とMapデータのエクスポート
最後は、データの保存です。プロジェクトの保存を行うことで、DiffuseやNormalなどのデータも同じ場所に自動でエクスポートされます。
青枠のボタンは出力形式の選択です。今回は.bmpを選択しています。
赤枠の”Save Project”ボタンで保存先の選択画面が表示されます。
例としてBrickWallというフォルダーにBrickWallMaterialという名前で保存します。
保存先を指定して”Select”ボタンをクリックで保存を完了します。
保存先のフォルダーを見てみましょう。
.mtzというファイルがMaterializeのプロジェクトファイルの形式です。
残りのデータが今回作成したDiffuseやNormalといったマテリアルのデータとなります。
完了
お疲れ様でした。これで1枚の画像(Diffuse)から一連のデータの作成ができました。
今回は作成するものがレンガの壁ということで、MetallicとSmoothnessは使用しませんでしたが、手順の流れは同じですので大丈夫かと思います。
注意しなければならないのは、以下のようにHeightやMetallicなどのデータは、前提となるデータが存在して初めて作成できることに留意してください。
• Diffuse -> Height (DiffuseからHeightを作成)
• Diffuse -> Metallic
• Diffuse -> Smoothness
• Height -> Normal
• Height + Diffuse -> Normal
• Normal -> Edge
• Normal -> Occlusion
• Normal + Height -> Occlusion
• Normal -> Height
表を見てわかるように、基本的にはDiffuseから派生していきますので、今回この記事で紹介した手順がスタンダードな作業工程となると思います。
また公式チャンネルにはレンガの壁のほかに、ひび割れた泥の地形や、複雑な模様のマンホールなど、2つのチュートリアルが用意されています。ぜひ見てください。
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